RYUSEKI EXPEDITIONS

UIAGM国際山岳ガイド平岡竜石が世界の高峰をご案内

世界最高峰エベレスト2023

 史上最多の死者数17人を記録したエベレスト2023が終了しました。シーズンが始まったばかりの4月12日に3名のシェルパが、荷上げ中にアイスフォールのセラックの下敷きになって死んだ。そのうちの一人は、2016年チョーオユー8201m、2017年エベレスト8848m、2018年マナスル8163mと、3回のヒマラヤ登山を一緒に登ったペンバ・テンジン・シェルパ。享年31歳。華奢な体格で、優しい顔立ちで、いつもニコニコしていたが、とっても強く、優しく。本当に良いシェルパだった。本当に残念でならない。

 ネパール側だけで史上最多478人に登山許可が下りました。昨今は、1人の顧客が2人のシェルパを雇うケースも多く、シェルパを含めた登山者数は1200人程度だったでしょう。そして、シーズン前半の5月上旬まで悪天候続き、今季の初登頂は5月13日までずれ込みました。5月13日以降は比較的好天に恵まれ、5月末頃まで登頂が続き、ある程度登頂日は分散されたようですが、相当な混雑があった事は想像できます。

 正確な登頂者数が出るのは数週間先ですが、いくつかのヒマラヤ登山ウェブサイトの速報値は、今季の登頂者数は600人程度のようです。これは昨年の最多記録698人を大きく下回り、この10年では少ない方です。中国チベット側からも16人の登頂者が報告されています。

 17人の死者の影には、この10倍以上の肺水腫や脳浮腫などの高山病、凍傷などのケガによりレスキューされた登山者がいるでしょう。最近は7000m近い標高までヘリコプターによるレスキューが可能になっています。ネパール側のエベレストでは、毎日レスキューのヘリコプターが飛んでいるようです。

 改めてネパール側のエベレストの怖さが強調されたシーズンとなりました。それは潜在的な山の困難さや危険度だけではなく、人為的な要素が大きく影響してると言えるでしょう。僕はネパールの登山システムが変わらない限り、ネパール側のエベレストには、もう行きたく無いな。

 来年は、おそらく中国チベット側のエベレストも、外国人に開放されるでしょう。コロナ前から話のあった人数制限が、本格的に導入されるでしょう。おそらく値段は高くなるでしょうし、理不尽な事もあるかもしれません。それでも、山の潜在的な危険度が少なく、渋滞も少なく、登り易い、中国チベット側のチョモランマを選びたいです。だって、登れなければ行く意味が無いし、死んでしまったら元も子も無いですから。

 

coment on Facebook

只今、募集中 海外公募登山隊

さらに表示